「平中物語」の中のどんぐりの木
2009 / 09 / 04 ( Fri )
平中物語ではナラがでてきます。

<楢(ナラ)>
女が、ただ奈良へという伝言だけを残して前に住んでいた家からいなくなってしまいます。
そのとき残した歌が

わが宿は 奈良のみやこぞ 男山 越ゆるばかりに しあらば来て問へ

そうこうしているうち、初瀬(京都から見て奈良の先にあります)にお詣りした帰り道、
飛鳥本というあたりで、あるお屋敷に泊めてもらつたのですが、
その隣の家のようすが、

南なる家の門より、北なる家までは、楢の木といふを、植え並めたりけり。
「あやしくもあるかな。こと木もなくて、これしも 」


南側の家の門から北側の家の門まで、楢の木だけが並べて植えてあり、
「奇妙だな、他の木は一本もなくて、こればかりとは」という意味です。
その家にそっと入り込んで覗き見などしているうちに・・・
その女の家とお互いがわかるのですが、

・くやしくぞ 奈良へとだにも 告げてける たまぼこにだに 来ても問わねば
返し
・楢の木の ならぶ門とは 教へねど 名にやおふとぞ 宿は借りつる


ならへ、とお教えしたことだけでも悔やまれます。
現に、奈良にいらっしゃっても、その道すがら私を探そうとはしないのですから。
返し
楢(なら)の木の並んだ家とまでは教えていただけませんでした。
奈良(なら)にゆかりの名を持つ木が並ぶだけのことはあるかと思い泊ったのです。
というような意味です。

奈良(なら)と楢(ナラ)をかけているお話ですね。
奈良と楢をかけることは、他の文や歌の中にもたまにみられ、

(例)古今和歌集
神無月 時雨降りおける 楢の葉の 名におふ宮の 古事ぞこれ

「名におふ宮」は奈良(なら)の平城京のこと。
などがよく知られています。
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